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猫と死体と焼却炉の話

漫画にしようと思ったけど、絵的に面白みがまるでないので文章にしました。
結果的にとりとめのない会話感が出てるような気がします。

悪魔創作、ベリアル眷属のジールとレイスの話。いちお二人はお付き合いしてます。


地獄であっても怪我をすれば出血する。
魂に血が通っているのかと妙な話ではあるが、要するに「身を切れば血が流れ出るものである」という思い込みが、切り口から血を流させるらしい。切れば血が出る、曲げれば折れる、そんな肉体を模した損傷は肉体を持つものならではの思い込みが魂をそう象るだけだと言うが、かと思えば恐れ多くも悪魔一般のものたちも割と生き物じみた怪我をしているのを見かける。曰く、損傷度合いを表すのにちょうどいいからとか。絶えず争い合う彼らなりの試合規則のようなものか。
では、悪魔のように争い合う生を受けたわけでもなければ、ついぞ肉体を持つこともなかった家憑きの妖精である彼の魂が流すこの赤い液体はなんなのだろうか。
魂、と呼ぶのも適切ではない。魂の、残骸。残骸でないほうの彼といえば、ジールの隣に立ってジールと同じような顔で彼の魂の残骸の山を眺めていた。
そう、問題なのは血ではなく血を流す元のほうだった。
「派手に死んだねえ」
「…申し訳ありません」
「実戦は初めてだし、しょうがないよ。むしろ初戦で問題点が明瞭になったのはいいことだし」
多少なりとも予測はしていたが、これほどとは。未成年男子にしては決して低いとは言えないジールの身長にやや届かない程度に積み上がった死体の山。レイスが3度目の分身を使った時点でジールは数をかぞえるのを止めた。
分身、とは少し違う。言うなれば「並身」。観測者の目をすり抜ける猫の特性にジールの事象の関係性を縒り分ける糸の力を重ね、確定しうる可能性を選択し実像にする。ジールの力は時間の干渉を受けないため、並行世界が現れることがない代わりに「増えた状態で安定している」ため、死体が消えないのだ。
敵対勢力に手の内を読まれぬように、戦いのあと全てのレイスの死体を回収したものの、消えない死体は場所を取ることこの上ない。
「戦うたびにこんなに増えたんじゃ、庭が埋まっちゃう」
「埋葬しましょうか」
「埋める場所がないっつってんの」
この量となると埋葬というよりは貝塚ならぬ猫塚のように縦穴を掘るしかなさそうだが、そんな労力は出せないし何よりも庭師が丹精している庭にそんなものを作るのは嫌だ。
「レイス君、これ食べたりできない?」
「食べて…食べられないことはないですが。生きてる者と違って食べても特に利点がありません」
並身で増えたレイスは、生きている個体に限り並身同士が回帰することで互いの経験記憶を共有する。死んだ個体ではそれが起こらないため、魂の損傷を補う以外のメリットはない。
そのメリットも、わざわざ自分と同じ形のものを食べるという悪趣味でする必要もなかった。
「じゃあ俺が食べよっか、俺レイス君の恋人だし。猫肉ってあんま美味しくなさそうだけど」
「それはダメです」
なんとなく死体の山に近づいて、目の前に突き出た腕を掴む。と、レイスはジールを静止した。
「なに、嫉妬?」
「はい。あなたに食べられる彼らを羨ましく思ってしまう」
ふーん、とジールは笑う。真っ直ぐに自分を見てくる二色の目が、おかしくて愛おしかった。
「いっそ何か動物でも飼う? ベリアル様に頼んで…竜とか、ライオンとか? なんか食べそうなやつ」
「犬も猫もアルパカも、なんなら赤い鱗の蛇も十二分に間に合ってると思われますが」
「だよねー」
嘆息して、ふたりで黙る。死体から流れ出た血の端はもう見えなくなっていた。
そういえば、と。再び死体の山に視線を戻し、しばらく経ったころレイスは口を開いた。
「ジールは焼かれて死んだんでしたよね」
「そうみたいだね。俺はその時の記憶はないけれど」
「じゃあ、こいつらも焼いてやりましょう。あなたと、同じに」
「焼いても、俺のとこには来れないよ?」
「あなたには俺が居るからいいじゃないですか」
「それもそうか」
方針が決まったことで、善は急げとすぐにベリアルに陳情して、ベリアルの屋敷の裏手にはレイスを燃やす専用の焼却炉が設置された。ベリアルが「あまり殺しすぎるのは感心しないなあ」と言ったため、焼却作業は戒めをこめてレイス本人がやることとなった。

炉に死体を積み上げて、蓋をして火を入れる。
きっと彼らも喜びますよ。他人事のように言うレイスを、ジールは見つめていた。
「レイス君は俺と一緒に死にたいの?」
なんとなく思ったことを口にする。言われたレイスはひどく不思議そうな顔だ。
「…いいえ? 俺は死にません。今度こそ、あなたを守ると誓ったから」
今度とはなんだろうか。ジールはその言葉にひっかかったが、特に尋ねはしなかった。レイスはたまによくわからないことを言う。
「そういえば、俺って死ぬ前に強姦されてたらしいんだけどそのへんの再現はどう?」
「遠慮しておきます」
「だよね。俺もやだよ」
無駄話をやめて、作業をするレイスを見守ることにする。ジールが一緒に居ては二人きりの時間を長引かせるために焼却作業が遅れるのでは、とも思ったが、それも気にしないことにした。




冷静に見返して、ジールちょっと頭おかしいような気がしますね。

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